狐の嫁入りとは、お日様が照ってるようないい天気なのに雨が降ることを言いますよね。
実はもう一つの意味があるのです。
というより、こちらが元々の意味のようですが。
夜に山や林の川沿いで狐火が並ぶ現象を狐の嫁入りと呼んでいました。
狐火とは正体不明の火で怪火とも言われます。
火の玉みたいなものですかね。
それがなんで、お天気での雨が降ることを狐の嫁入りと呼ぶようになったかを説明していきます。
狐の嫁入りの由来
日が照っているのに雨が降ってくることは普通ではないので、狐火の異様な怪しさにたとえられた表現だと考えられます。
奇妙な現象を「狐に化かされた」と言ったりするように、狐には昔から神秘的なイメージがあり不思議な力があったと考えられてきました。
お天気なのに雨が降るという一種の怪奇現象とも捉えられてたのかも知れませんね。
また別の説として、狐が嫁入りするところを見られないようにするために狐が雨を降らしてるという俗説もあります。
狐の嫁入りの伝説
狐の嫁入りには悲しい伝説があります。
その村では狐を神に捧げて雨を降らそうと、男前な村人に女狐を騙させして嫁入りさせようとしました。
しかし、時間が経つうちにその狐に惹かれた男は、狐に全てを明かしますが、狐もその男に惹かれてたので村を守るために自ら生贄にされました。
そのとき、晴れていた空から大粒の雨が降ってきて、これは狐の嫁入りだと言われるようになったということです。
切ないお話ですねえ。
女狐という呼び方が全然イメージ違いますね。
別のお話もあります。
その村では、毎年お米を宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)に捧げるという風習があったのですが、日照りではお米ができずお供えできなくて困ってました。
そこで、その村の人たちは宇迦之御魂神に雨を降らしてくれるように毎日祈りを捧げました。
やがて、宇迦之御魂神の使いである狐が現れ、空に向かって一声鳴きました。
すると晴れた空にもかかわらず、たくさんの雨が降ってきました。
その年はいつも以上に豊作になったそうです。
そういえば、神社には狐さんがいますね。
狐は神聖な存在だったのですね。
ちなみに、この宇迦之御魂神は伏見稲荷大社の主祭神だったりします。
狐の嫁入りが縁起が良いとされる理由
そもそも、雨は昔から「恵みの雨」などの表現がなされてたりと、天からの祝福を表すものと考えられてきました。
その他にも晴天での雨である狐の嫁入りが縁起が良いとされる理由は色々あります。
虹が出る
天気の良い時に雨が降ると虹が出ます。
虹も昔から縁起が良いとされてきました。
そんな虹がでる狐の嫁入りは縁起が良いものだったのでしょう。
豊作をもたらす
先ほど紹介した伝説にも狐の一鳴きで雨が降って豊作になったというお話がありました。
他にも狐の嫁入りのおかげで豊作になったというお話がたくさんあります。
農作には雨は恵の雨ですから、狐の嫁入りは縁起が良いと考えられたのだと思います。
狐の嫁入りを言い換えた言葉は?
もちろん狐の嫁入りは、天気の日の雨ですから「天気雨」という呼び方があります。
また、「日照り雨」や「狐雨」という呼び方もあります。
また、地方によって呼び方が色々あって、神奈川や徳島では「狐雨」、千葉では「狐の祝言」、青森では「狐の嫁取り」と呼ばれてます。
神奈川と徳島って全然違う地方なのに同じ呼び方されてるのが興味深いですね。
ちなみに「狐雨」は短歌でよく使われます。
狐の嫁入りに関する各地の行事
きつねの嫁入り行列
静岡県沼津市の朝日稲荷神社に伝わる民話「朝日稲荷と嫁入り船」の話を、実際の花嫁と花婿を迎えて再現し、町を挙げて祝うというイベントです。
花婿と花嫁が人力車に乗り、それに続く人々の列が商店街中を練り歩き、沿道の人々から祝福をうけます。
つがわ狐の嫁入り行列
新潟のお祭りです。
新潟県東蒲原郡阿賀町毎年5月3日に開催されます。
江戸時代の嫁入り行列を再現しており、花嫁と108人のお供が狐に扮した姿で街中を練り歩きます。
東山花灯路の狐の嫁入り巡行
狐のお面をつけた白無垢の花嫁が人力車に乗り、お婿さんや侍者を後ろに従え、東山界隈を巡行します。
花嫁行列を見ると、その年幸せになる、との言い伝えがあります。
高台寺周辺には狐火がよく見られたと伝えられ、花嫁が夜に嫁ぎ先まで歩いていく提灯の灯りが、狐火に似ていたことが由来です。
まとめ
狐の嫁入りは、もともとは別の意味があったんですね。
晴天の雨を狐の嫁入りにたとえたのは、狐を神の使いとして神聖なものとし、雨を縁起の良いものと考えてきた日本人の物の考え方が表れたものなんですね。