東京の地下を縦横無尽に走る地下鉄。
地方の人からするとよくあんな入り組んだ路線図を理解できるものだと不思議に思うことでしょう。
実際、東京の人でも理解してる人はそんないませんので安心してください。
ところで、東京の地下鉄には都営地下鉄と東京メトロという二つの地下鉄があります。
この都営地下鉄と東京メトロの違いは知らない人も多いのではないでしょうか。
ここでは、東京メトロと都営地下鉄の違い、特徴や運賃など詳しく解説していきます。
東京メトロと都営地下鉄の違い
東京では地下鉄システムが「都営地下鉄」と「東京メトロ」という二つの異なる運営体によって提供されています。
主な違いは運営組織にあります。
「都営地下鉄」は東京都が所有し、東京都交通局によって運営されている公営の交通機関です。
これに対し、「東京メトロ」は私企業である東京地下鉄株式会社が運営しており、都内及びその周辺での地下鉄サービスを手掛けています。
まとめると
- 都営地下鉄は東京都の管理下にあります。
- 東京メトロは「東京地下鉄株式会社」が運営しています。
日本の他の地域では地下鉄は各市が中心となって運営しており、東京のような二元運営は非常に珍しい例です。
札幌の地下鉄は札幌市の市営ですし、京都の地下鉄は京都市営です。
公営で運営している理由は地下鉄建設の高額なコストが私企業にとって大きなハードルとなるためです。
ですので、多くの場合は公的機関が運営を担うことが一般的です。
かつては、ニューヨークやロンドン、パリなども複数の企業による運営が見られましたが現在はこれらの都市も一元化されています。
東京都と東京地下鉄株式会社の二元運営は珍しいです。
「東京メトロ」という名称は世界初の地下鉄であるロンドンのメトロポリタン鉄道にちなんでおり、「メトロ」は世界中で一般的に地下鉄を指す言葉として用いられています。
東京では、都営地下鉄と東京メトロの存在が特に地方や海外からの訪問者にとっては複雑な路線網をさらに難解にしています。
もともと東京メトロは「交通営団」という名前の特殊法人だったため、現在でも国と東京都のみが株を保有する独特の企業形態をとっています。
一昔前までは「営団地下鉄」などと呼ばれたりしてました。
東京メトロと都営地下鉄の異なる起源と目的
東京メトロは、その設立時から民間の地下鉄運営を主な目的としていました。
一方、都営地下鉄の設立は元々地下鉄運行を直接の目的としていなかった団体(東京都)によるものです。
東京都は当初、路面電車やバスの運営に注力しておりましたが、戦後の交通量の増加に伴い地下鉄の開発に乗り出したことが都営地下鉄のスタートとなります。
浅草線の開業(昭和35年)は、都営地下鉄の運営の始まりを告げるものでした。
その一方で、銀座線を運営していた営団地下鉄は民営化され、現在の東京地下鉄株式会社つまり東京メトロに至る道を歩みました。
これらの異なる歴史的経緯が、今日における都営地下鉄と東京メトロという二つの異なる運営体制を形成しています。
東京メトロと都営地下鉄の路線
都営地下鉄と東京メトロは、それぞれ異なる路線ネットワークを持っています。
都営地下鉄は合計4つの路線で構成されており、東京メトロは9つの路線を有しています。
都営地下鉄の路線概要
浅草線
東京の北部と南部を結ぶ重要な路線で、特に交通の不便だったエリアをカバーしています。
西馬込駅から押上駅を結んでいます。
三田線
かつて「東洋一の大団地」と称された高島平を都心へと直結します。
目黒駅から西高島平駅までを結び、東急目黒線と直通運転を行っています。
新宿線
東京の東西を横断する路線で、新宿駅と本八幡駅を結び京王線との相互直通運転が特徴です。
大江戸線
東京を一周する環状の路線で、全長40.7kmにわたり多くの駅で他の路線との乗り換えが可能です。
都庁前駅から光が丘駅までを結んでおり、東京内部のアクセスを大きく改善しました。
これらの路線は、東京の広範な地域をカバーし住民や訪問者にとって重要な交通手段となっています。
東京メトロの路線一覧
東京メトロは、東京とその周辺地域を網羅する9つの主要な路線を運営しています。
- 日比谷線:北千住駅(足立区)から中目黒駅(目黒区)までを結びます。
- 銀座線:浅草駅(台東区)から渋谷駅(渋谷区)までを結びます。
- 丸ノ内線:池袋駅(豊島区)から荻窪駅(杉並区)までの本線と、中野坂上駅(中野区)から方南町駅(杉並区)までの分岐線を含みます。
- 東西線:中野駅(中野区)から西船橋駅(千葉県船橋市)までを結びます。
- 南北線:目黒駅(品川区)から赤羽岩淵駅(北区)までを結びます。
- 有楽町線:和光市駅(埼玉県和光市)から新木場駅(江東区)までを結びます。
- 千代田線:綾瀬駅(足立区)から代々木上原駅(渋谷区)までの本線と、綾瀬駅から北綾瀬駅(足立区)までの支線を含みます。
- 半蔵門線:渋谷駅(渋谷区)から押上駅(墨田区)までを結びます。
- 副都心線:和光市駅(埼玉県和光市)から渋谷駅(渋谷区)までを結びます。
これらの路線は、東京都内を横断する重要な交通網であり日々数多くの人々が利用しています。
東京メトロと都営地下鉄の運賃の違い
都営地下鉄と東京メトロの運賃体系には差が存在します。
異なる運営機関によるこれらの地下鉄では初乗り料金も異なります。
距離区間 (km) | 東京メトロ運賃 (大人)きっぷ / ICカード |
---|---|
1〜6 | 180円 / 178円 |
7〜11 | 210円 / 209円 |
12〜19 | 260円 / 252円 |
20〜27 | 300円 / 293円 |
28〜40 | 330円 / 324円 |
※2024年現在
地下鉄を利用する際、特に両者を乗り継ぐ場合運賃の違いに注意が必要です。
都営地下鉄の方が若干高めであるため、利用者にはコストの面で影響があります。
東京メトロでは2023年3月に運賃の改定が行われ、初乗り運賃が10円引き上げられ都営地下鉄と同じ料金になりました。
乗り継ぎ時の運賃の重複や、地下鉄の利用方法に関する理解は東京での移動効率やコスト削減に大きく影響します。
地下鉄の路線図とともに、各駅の位置関係を理解することは時間と費用を節約する上で重要です。
東京メトロと都営地下鉄を乗り継ぐとそれぞれの初乗り料金が必要ですので、運賃が高額になってしまいます。
運賃の統一や、より利用者に優しい料金体系への改善が望まれています。
まとめ
東京メトロと都営地下鉄の違いについて解説しました。
一言で言えば、私鉄と公営の違いです。
その他、運賃などにも違いがあります。